黄金の虎伝説「初代タイガーマスク 佐山サトル」〜② 1982 四次元殺法で人気爆発

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プロレス
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初代タイガーマスク、今回は2年目、1882(昭和57)年編です。

 

>①1981(昭和56)年編はこちら

 

●TV中継はタイガーの試合から~人気は社会現象に

 

いつしかTV中継「ワールドプロレスリング」はタイガーマスクの試合から始まるようになりました。

 

古舘伊知郎アナウンサーによる「四次元殺法」「超立体殺法」「SUPER HERO」「黄金の虎」などのキャッチコピーと共に、金曜夜8時のプロレス中継で、タイガーマスクはお茶の間に浸透していきました。(実は古舘アナはメインの猪木や藤波長州らの担当で、タイガーマスクの試合はサブの保坂アナが多かったのですが)

 

2年目の1982年は引き続きダイナマイト キッド、メキシコ ルチャリブレのマスクマン達、ヨーロッパ マットの強豪に加え、「暗闇の虎」ブラックタイガー、「虎ハンター」小林邦昭…次々と現れる対戦相手は、劇画タイガーマスクの「虎の穴からの刺客」のイメージと合致して、その盛り上がりを加速させました。

 

会場は全国どこへ行っても超満員。小学生のちびっこファンが会場に押し掛け、「新日本プロレスブーム」が社会現象となります。

 

普段プロレスを扱わないNHKや他民放局、新聞や週刊誌などで「タイガーマスク特集」「プロレスブーム特集」が組まれ、中でもタイガーマスクは「プロレス」の枠を超えた、時代の寵児となっていきました。

 

気がつけばクラスの男子は全員、タイガーマスクに夢中。プロレスに興味のない子も、タイガーマスクだけは別でした。

 

小学校の卒業文集「尊敬する人」には「志村けん」と並んで「タイガーマスク」が挙がり、TV中継の視聴率は「太陽にほえろ」「3年B組シリーズ」という強力な裏番組にも関わらず、年間平均20%超えを記録します。

 


 

●キッドとの元日決戦で初戴冠

 

1月1日、後楽園ホールでの「元日決戦」は夜8時からのゴールデン生中継。タイガーは藤波が返上したWWF Jr.王座決定戦をダイナマイト キッドと行います。左足首骨折の負傷が癒えないタイガーは大苦戦しますが、一瞬の丸め込みで初の王座戴冠となりました。

 

1月8日には同じ後楽園ホールでアントニオ猪木、藤波辰巳とドリームトリオを結成、アブドーラ ザ ブッチャー、ダイナマイト キッドベビー フェイス組との豪華6人タッグ戦を行います。

1月21日は鹿児島でアントニオ猪木、長州力とタッグを結成してワフー マクダニエル、ビリー グラハム、ブレッド ハートと対戦。

 

1月28日、後楽園ホールでキッドと3度目の対戦。バックの取り合いからの高速ジャーマンのフィニッシュは衝撃的で、数あるキッド戦の中でも名勝負です。


 

●欧州の刺客 ライト&”暗闇の虎”ブラックタイガー登場!

 

4月1日、ヨーロッパの強豪 スティーブ ライトとの蔵前決戦。試合巧者ライトとのテクニカルな攻防は芸術的な名勝負で私も大好きな試合の一つです。

4月21日、暗闇の虎 ブラックタイガーが初登場。正体は英国時代のライバル、”ローラーボール”マーク ロコです。

この「難民救済チャリティ4大スペシャルマッチ」は通常とは違う水曜スペシャル特番枠で放送され、完全ノーマークでうっかり見逃し&録画してない悔しさが今でも思い出。翌日、学校で友達に散々自慢され「ブラックタイガーってどんなのなの?」と何度訊いても「黒いタイガーマスクだよ」としか教えてもらえず。結果は両者リングアウトでタイトル防衛。

 


 

●正体は佐山サトル?

 

当時、週刊サンデーで連載中の人気マンガ「プロレススーパースター列伝」(梶原一騎氏原作・原田久仁信作画)で、リアルタイム同時進行で「タイガーマスク編」がスタートします。(週刊少年サンデー1982年5号~1982年31号)。

作中、梶原一騎氏自らも「タイガーの正体が仮に佐山サトルだとすれば…」という形で、異説も紹介しながら進み、さらに正体は誰なのか、と盛り上がりました。

 

当時の私を含めた小学生ファンは佐山サトルという若手レスラーの試合を観たことがなく(若手の試合はTV中継されないため)、インターネットどころかビデオもない時代ですので、「正体は佐山サトルだ」と言われても、「正体は伊達直人だ」と言われているのと同じことでした。

 


 

●右膝靱帯損傷、タイトル返上から二冠王へ完全復活

 

4月25日、ブラックタイガー、ホセ ゴンザレスとのタッグマッチ中に右膝靱帯損傷の大怪我。5月2日から欠場、WWF Jr.王座を返上します。(ちなみにゴンザレスは後のブロディ刺殺犯のあの男)

*5月6日、福岡で王座決定戦が行われ、ブラックタイガーがグラン浜田を下しWWF Jr.ヘビー級タイトル獲得

 

5月25日、レス ソントンを下しNWA世界Jr.ヘビー級タイトルを奪取。日本人レスラーとしてはヒロ マツダ以来18年ぶり2人目、またマスクマンとしては史上初の快挙です。

 

新日本プロレスでNWAのタイトルマッチが行われること(しかも王座獲得)は異例で、案の定、ライバル団体の全日本プロレス ジャイアント馬場から「無効」との横槍が入り、しばらく防衛戦が行えずにいました。TV中継ありとはいえ、世界戦が静岡産業館という地方会場で行われたことも、きな臭いものを感じました。

 

5月26日、大阪府立体育会館でブラックタイガーをラウンディング ボディ プレス(旋回式のムーンサルト プレス)で破り、NWAとWWF Jr.二冠王に。この試合は数あるタイトルマッチ中でも名勝負中の名勝負で好きな試合です。

 

 

6月18日と7月6日、蔵前国技館でメキシコからの刺客、ウルトラマンとのWWF防衛戦

このメキシコのウルトラマン、円谷プロダクション非公認だったようですが、アステカイザーで親交のあった新日本プロレスなので黙認?入場曲はそのまんま「ウルトラマンの主題歌」でした。この試合で「スペース フライング タイガー ドロップ」(ロンダートからのノータッチ プランチャ)初公開。

 

 


 

●キッドに初黒星、全米デビュー

 

7月23日、石川県産業展示場で行われたダイナマイト キッドとのノンタイトル戦は猪木欠場のため初のメインイベント。しかし「場外フェンスアウト」で反則負けに。これがタイガーマスク シングルマッチ唯一の黒星となりました。

 

8月30日、ニューヨーク マジゾン スクウェア ガーデン(MSG)初登場。ダイナマイト キッドと第二のデビュー戦ともいえる名勝負を行い、全米の観客を熱狂させました。

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●虎ハンター 小林邦昭登場!

 

10月26日、大阪府立体育会館で小林邦昭とのWWF防衛戦小林の「マスク剥ぎ」は強烈なインパクトを残し、11月4日に今度は二冠を賭けて再戦。再びマスクに手をかけた小林にタイガーは激怒し、ケンカファイトの凄みを見せました。

生中継という緊張感もあり、小林は「虎ハンター」として大ブレイク。多くのちびっこは「タイガー負けるな!でも素顔が見たい」という相反する感情で悲鳴を上げました。


 

●海外遠征

 

11月からは1か月間の海外遠征へ。アメリカWWFとメキシコUWAをサーキットし、世界中で熱狂的なタイガー旋風を巻き起こしました。12月4日にマサチューセッツ州スプリングフィールドにて、プレイボーイ バディ ローズを下し、12月7日にはペンシルベニア州アレンタウンにて、当時WWFを主戦場としていたミスター サイトーことマサ斎藤からも勝利しています。

 

▶次回、ラストイヤーとなる1983(昭和58)年編 に続きます!

 


 

●この年の主な着用マスク

 

伝説(初期型)


元日決戦から着用。やや横幅が広い丸顔タイプ。

伝説(後期型)


このマスクでほぼデザインが確立したモデルで人気も高く、三沢光晴の二代目などにも継承されたデザイン。
個人的にはネコっぽいのが・・・

ヤギリ


個人的にはこのモデルが好きです。鼻の下パーツがなくなり、呼吸がしやすくなりました。
小林邦昭に破られまくった時期に着用。

 


 

初代タイガーマスク シングル全戦績② 1982年

 

◆49勝1敗3引き分け
*タッグ戦、海外での試合は含まれていません

 

01月01日 後楽園ホール (8分31秒 回転エビ固め)ダイナマイト キッド 〇
*WWF Jr.ジュニアヘビー級王座決定戦 王座初戴冠
01月10日 福生市民体育館 (8分22秒 体固め) ハルコン’78 〇
01月15日 姫路市厚生会館 (10分18秒 原爆固め)ハルコン’78 〇
01月20日 熊本市体育館 (9分35秒 体固め) ハルコン’78 〇
01月25日 江南市体育館 (11分19秒 体固め) ハルコン’78 〇
01月28日 東京体育館 (12分38秒 原爆固め)ダイナマイト キッド 〇
*WWF Jr.ヘビー級選手権試合
01月30日 境町町民体育館 (9分1秒 体固め) ハルコン’78 〇

02月03日 古川市体育館 (9分35秒 体固め) ハルコン’78 〇
02月05日 札幌中島体育センター(17分34秒 体固め)ブレット ハート 〇
*WWF Jr.ヘビー級選手権試合
02月09日 大阪府立体育会館 (12分44秒 原爆固め)ベビー フェイス 〇
*WWF Jr.ヘビー級選手権試合

03月04日 後楽園ホール (11分48秒 リングアウト)スティーブ ライト 〇
*WWF Jr.ヘビー級選手権試合
03月11日 磐田市立体育館 (9分35秒 体固め) コロソ コロセッティ 〇
03月12日 後楽園ホール (12分27秒 原爆固め)ブラックマン 〇
03月15日 津島市民体育館 (7分6秒 体固め) コロソ コロセッティ 〇
03月16日 豊橋市体育館 (9分19秒 体固め) ブラックマン 〇
03月21日 柳川市青果市場 (10分7秒 体固め) ブラックマン 〇
03月23日 北九州市若松文化体育館(12分1秒 体固め)ブラックマン 〇
03月25日 岡山県営体育館 (11分3秒 体固め) ブラックマン 〇
03月26日 広島県立体育館 (7分16秒 体固め) コロソ コロセッティ 〇

04月01日 蔵前国技館 (17分50秒 体固め) スティーブ ライト 〇
*WWF Jr.ヘビー級選手権試合
04月21日 蔵前国技館   (14分17秒 両者リングアウト)ブラックタイガー △
*WWF Jr.ヘビー級選手権試合
04月23日 大宮スケートセンター(11分3秒 体固め) ホセ ゴンザレス 〇

05月20日 中村市スポーツセンター(6分31秒 体固め)ホセ ゴンザレス 〇
05月25日 静岡産業館    (13分59秒 体固め) レス ソントン 〇
*NWA Jr.ヘビー級選手権試合 NWA王座奪取
05月26日 大阪府立体育会館 (14分15秒 体固め) ブラック タイガー 〇
*WWF Jr.ヘビー級選手権試合 二冠王に

06月18日 蔵前国技館    (9分48秒 原爆固め) ウルトラマン 〇 
*WWF Jr.ヘビー級選手権試合
06月21日 岩手県営体育館  (8分33秒 体固め)ウルトラマン 〇
06月26日 遠軽町総合体育館 (11分46秒 両者リングアウト)ウルトラマン △

07月02日 旭川市総合体育館 (11分3秒 原爆固め)エル ポラコ 〇
07月06日 大阪府立体育会館 (12分12秒 原爆固め)ウルトラマン 〇
*WWF Jr.ヘビー級選手権試合
07月23日 金沢市産業展示場 (13分54秒 反則負け)ダイナマイト キッド ●
07月30日 愛知県体育館   (17分3秒 原爆固め)ブレッド ハート 〇
*WWF Jr.ヘビー級選手権試合
08月05日 蔵前国技館    (15分58秒 体固め)ダイナマイト キッド 〇
*WWF Jr.ヘビー級選手権試合
08月29日 田園コロシアム  (18分3秒 リングアウト)ブラック タイガー
*WWF Jr.ヘビー級選手権試合

09月03日 福岡スポーツセンター(7分2秒 原爆固め)ビジャノⅢ号 〇
*WWF Jr.ヘビー級選手権試合
09月06日 熊本市体育館 (11分22秒 両者リングアウト)ブラック タイガー △
09月10日 宇土市体育館 (15分44秒 回転足折り固め)ピート ロバーツ 〇
09月11日 安城市体育館 (9分55秒 体固め)ビジャノⅢ号 〇
09月14日 諏訪湖スポーツセンター(11分22秒 体固め)ビジャノⅢ号 〇
09月17日 十和田市体育館 (14分10秒 体固め)クリス アダムス 〇
09月21日 大阪府立体育会館 (19分8秒 エビ固め)ブラック タイガー 〇
*WWF Jr.ヘビー級選手権試合
09月22日 韮崎市体育館 (12分29秒 体固め)ピート ロバーツ 〇

10月08日 後楽園ホール (12分9秒 エビ固め)マーティン ジョーンズ 〇
10月10日 平塚市青果卸売市場(9分49秒 体固め)ジム ロンドス 〇
10月14日 水戸市民体育館 (9分2秒 逆さ押え込み)ジム ロンドス 〇
10月17日 宇治市伏見醍醐FP (8分43秒 逆さ押え込み)ジム ロンドス 〇
10月18日 福山市体育館 (8分56秒 回転エビ固め)ジョーンズ 〇
10月22日 広島県立体育館 (4分35秒 原爆固め)レス ソントン 〇
10月26日 大阪府立体育会館 (16分57秒 反則勝ち)小林邦昭 〇
*WWF Jr.ヘビー級選手権試合
10月27日 千葉公園体育館  (10分40秒 回転エビ固め)マーティン ジョーンズ 〇
10月30日 酒田市民体育館  (7分23秒 体固め)レス ソントン 〇

11月01日 米子市民体育館  (8分39秒 エビ固め)マーティン ジョーンズ 〇
11月04日 蔵前国技館    (13分40秒 反則勝ち)小林邦昭 〇
*WWF & NWA Jr.ヘビー級選手権試合

 

 


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コメント

  1. トラ爆弾 より:

    いつも拝見させて頂いて、あの頃を懐かしみ楽しませて頂いてます。
    待ちに待った初代タイガーマスク!
    これからも楽しみにしてますので、記事アップよろしくお願いします。

    ちょっと気付いたので、たぶんご存知だと思いますが、
    マスク紹介のヤギリの画像は引退復帰を繰り返した近年の写真ですね。
    当時の画像のほうがオールドファンはうれしいですね。

    • MIYA TERU より:

      トラ爆弾さん、ありがとうございます!さすがですねw差し替え致しました!

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