今回は、1978-79年に放送された“東映版”「 スパイダーマン」をご紹介します!
言わずと知れたアメコミのヒーロー、 ハリウッド映画の数々は超有名ですが…
この日本版テレビシリーズは、 一定の年齢層の方しかご存知ないでしょう。
それは本作が権利問題で長く「封印」状態にあったためです。
しかし、本作はいまなお続く「スーパー戦隊シリーズ」 の礎を作った、重要な作品なのです。
「スパイダーマン」
毎週水曜日 19:30-20:00
東京12チャンネル
1978(昭和53)年5月17日〜1979(昭和54) 年3月14日
全41話
東映・東京12チャンネル
福岡ではフジテレビ系のTNCで土曜夕方に放送されていました。
”地獄からの使者”の前口上と、”クセになる異様な前傾姿勢”が記憶にある人も多いのではないでしょうか。
●誕生の経緯
当時、東映は米マーベル コミック社と「 3年間お互いのキャラクターを自由に使用してよい」 という契約を結びます。
大人気を誇った「秘密戦隊ゴレンジャー」(1975〜77年) の後番組「ジャッカー電撃隊」が思うように視聴率が伸びず、 1977年12月に9ヶ月で「打ち切り」 の憂き目に遭っていました。
新たな特撮ヒーローものを模索する東映は、紆余曲折の末、この「 スパイダーマン」を主役に据えた番組を企画。
そのため、後に「スーパー戦隊シリーズ」 と呼ばれる作品がすべてテレビ朝日系なのに対して、 本作は単体ヒーローかつ、 東京12チャンネル系という異端の作品なのです。
●独創的な日本オリジナル設定
スパイダーマンのキャラクターこそ原作に忠実ですが、 まだアメコミに馴染みのない当時の世相を背景に、 設定や物語は東映が独自で創作。
視聴率と商業的な成功を目指す東映は、
・悪役組織
・変身グッズのブレスレット
・スーパーカー「GP-7」
さらには
・スパイダーマンが単身で戦った後に巨大ロボット「レオパルドン 」に乗り込んで戦う
などのオリジナル設定を「発明」。
中でも巨大ロボ「レオパルドン」 は超合金をはじめとした玩具商品で当時、“史上空前” と言われる大ヒット商品に。
この商業的成功と、 平均14パーセントの高視聴率を獲得したことも重なり、 この路線を発展させた「バトルフィーバーJ」(1979-) の制作が可能となり、以後、いまに続く大ヒットシリーズ「 スーパー戦隊シリーズ」として続いていきます。
この「スパイダーマン」がなければ、 スーパー戦隊シリーズは生まれなかった…かもしれず、 復活したとしても、もっと空白期間が長かったかもしれません。
さらには、アメリカで製作され大人気となった「 パワーレンジャー」も、 本作での東映とマーベル社のつながりがなければ、 誕生しなかったのです。
●「原作者激怒」の都市伝説
原作者のスタン リーをはじめとするマーベル側は、 CGを使用せずスルスルとビルを登る東映のスタント&特撮技術、 そしてスパイダーマンのクモ男らしい動き」 には驚嘆、絶賛の声を上げた、と言われています。
しかし、オリジナルの設定である巨大ロボ「レオパルドン」 にはびっくり仰天。
その後、原作者のリーが「 世界各国でスパイダーマンが製作されているが、 中でも日本版だけは別格だ。レオパルドンは別として…」 というコメントをしたことで「レオパルドンの追加でマーベル スタッフが激怒したから日本版スパイダーマンは封印作品になった 」というウワサが、長くささやかれ、都市伝説となっていました。
実際は「単にキャラクター利用契約が終了したため」 封印されただけ、であり、 マーベル側もスーパーカーや巨大ロボの登場には当時から理解を示 していたそうで、リーのコメントもジョークだったのだとか。
「レオパルドン」は後にマーベル本家コミックの「 スパイダーバース」に登場したり、 2018年にはマーベル公式チャンネル番組で紹介されたりしてお り、その度にアメコミファンの間で大きな話題となるのが“ お約束ネタ”になっています。
●名盤の渡辺宙明サウンド!サントラ集CD
本作の主題歌、BGMを収録したアルバム「エキセントリック・ サウンド・オブ・スパイダーマン」。
版権の兼ね合いでジャケットに写真は一切使用されていません。
シリアスかつダークな曲調でアニソン・特撮主題歌の巨匠・渡辺宙明さんの才能が爆発した名盤です。
権利が厳しいアメコミキャラのため、 契約終了後は東映版は再放送はもちろん、 当時のキャラクター写真やイラストすら利用できない「幻の作品」 になりました。
2005年に「最初で最後」とのコメント付きでDVD- BOXが発売されましたが、 これ以降は本作の映像を収録したソフトは発売されていません。
告知ポスターにも「歴史の闇から遂に復活!!」「奇跡のDVD化!」と書かれていますね(笑)。
2009年にはマーベル公式サイトで日本語音声に英語字幕を付加 する形で無料配信されていましたが、現在は中止となっています。
しかし、2018年が「放映開始40周年」 という節目の年であることから、 マーベル側での露出が増えているようです。
完
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コメント
私の住んでる関西では、毎週土曜朝8時半からフジテレビ系の関西テレビで放送されてました。が…
学校には8時半までに登校しないといけないので、初回放送時は学校を休んだ時の一回しか観てません。
しかしその2年後、同じ局で平日の夕方5時から再放送があったので、そこでハマりました。
おそらく、その頃はマーベルとの契約終了間近だったので、終了前にもうひと稼ぎ…といった事でしょうか。
(実際、「エキセントリックサウンドー」と「組曲 バトルフィーバーJ」がこの年にジャケットのデザインを変更して再発売されました。バトルフィーバーJはキャプテンアメリカがベースですから)
あと、昭和55年のスーパー戦隊「電子戦隊デンジマン」は、初回放送当時の著作権表示に「MCG(Marvel Comics Groupの略)」が入ってました。
そうそう、東映版スパイダーマンの音楽は、菊池俊輔先生ではありません。渡辺宙明先生であります。
コメントありがとうございます!渡辺宙明先生を菊池俊輔先生と書き間違うという痛恨のミス・・・ご指摘ありがとうございました。