私の所有する当時もの玩具を交え、昭和の名作アニメを振り返るシリーズ。今回は、1973(昭和48)年に放送された「ゼロテスター」をご紹介します。
「ゼロテスター」
1973(昭和48)年10月1日〜1974(昭和49)年12月30日
フジテレビ系
毎週月曜19:00 – 19:30
全66話
関西テレビ放送・創映社
サンライズスタジオ
※第40話より「ゼロテスター 地球を守れ!」に改題
「ゼロテスター」とは
1965(昭和40)年にイギリスで放送され日本でも大人気となった「サンダーバード」。
この「ゼロテスター」は、日本版権を持つ東北新社が「サンダーバード ブームよもう一度」と企画した、「和製サンダーバード」…
なのだそうですが、当時の子どもたちはその認識はなかったと思います。確かに1〜5号のメカは出ますが、舞台は宇宙で救助隊でもなく、まったくの別物ですし…
制作はあのサンライズの源流
制作したのは東北新社の子会社である創映社。「機動戦士ガンダム」のサンライズの源流となる会社です。
本作はその第2号作品。ちなみに、第1号作品は「ハゼドン」。作風違い過ぎです(笑)。
後に「太陽の牙ダグラム」(1981年)、「装甲騎兵ボトムズ 」(1983年)などを手がけた高橋良輔氏の監督デビュー作であり、「演出」の富野喜幸(由悠季)さん、「原画」の安彦良和さんコンビはこの6年後、「機動戦士ガンダム」を創り出します。
また本作は、日本アニメでは初めて「メカニック デザイン」を外注したことで知られます。担当したのは「スタジオぬえ」(ジョン・デドワ名義)。本作は高千穂遙さんが手がけたと言われています。「スタジオぬえ」はこの後、「宇宙戦艦ヤマト」「宇宙海賊キャプテンハーロック」、そして「超時空要塞マクロス」のメカニックデザインでアニメ界を席巻しました。
声優勢は神谷明さん(常に○○ビィィィィーム!と絶叫)と中尾隆聖さん(後のばいきんまん)、麻上洋子さん(後の森雪)、キャプテンは広川太一郎さん(トカナントカ言っちゃったりなんかしちゃったりして)。ちなみに…ガンダムの「カイ シデン」古川登志夫さんは本作がデビュー作です。
ロボット ブームの最中、ロボットが出ないメカ アニメ
この前年からスタートした「マジンガーZ」で世はロボット ブーム。しかし本作はあくまで“乗り物メカ“にこだわりました。3機合体するものや海に浮かぶ司令基地など、バンダイのプラモデルやポピー超合金が大人気になり、視聴率的にも「成功」となりました。また、「和製サンダーバード」なのにそのまま「国際救助隊」とはせず、宇宙を舞台としたSFスペースオペラにしたのは、スタッフの意地なのでしょうかね。
宇宙を舞台としたアニメとしてはこの直後の「宇宙の騎士テッカマン」(1975 昭和50年)、「宇宙戦艦ヤマト」(1977 昭和52年)よりも「ゼロテスター」が早いのです。
舞台は2100年、未知の敵(外宇宙の機械化人類アーマノイド)から人類を守る未来科学センターのチーム「ゼロテスター」の3人が主人公。“ゼロテスターとは生命維持度ゼロの限界に挑戦し地球の明日を切り拓いていく勇気と希望と友情にあふれる3人の若者たちのことである“
「クールなSFメカ路線」と、当時のスポ根ブームの影響を受けた「若者達の熱血ドラマ」が持ち味の作品でした。
当時としてはあるあるの「視聴率テコ入れ」は本作でも行われ、後半に「ゼロテスター地球を守れ!」と改題。そこからはロボットが出てきたり、怪獣が出てきたりと明らかに低年齢向け番組になり、いろいろと残念な感じになってしまいました。
主題歌
op「ゼロテスター」
作詞:鈴木良武 / 作編曲:山本直純
歌:子門真人
ed「愛する大地」
作詞:高橋良輔 / 作編曲:山本直純歌:ロイヤル・ナイツ
後期op「ゼロテスター地球を守れ!」
作詞:杉山政美 / 作編曲:山本直純
歌:杉並児童合唱団
音楽は山本直純さん。前期の子門真人さんの勇壮さから一転、後期は児童合唱団となりシンプルにカッコ悪いです。これテコ入れではなくむしろ逆効果なのでは?
ポピー超合金
それでは、当時もの玩具をご紹介します。ポピー超合金の乗り物ブランド「ポピニカ」でシリーズ化されました。
▼テスター1号
フブキ、アラシ、リサの三人の乗る本作の「主役」メカ。ウルトラホーク1号のような3機合体メカです。
▼テスター2号
キャプテンが搭乗する指令メカ。熱帯魚のようなフォルムです。
▼テスター3号
潜水母艦メカ。ジンベエザメみたいですね。
▼テスター4号
サンダーバード2号にあたる輸送機メカ。カラーリングも似てます。この斬新なデザインのメカが一番好きで、いまも(ボロボロですが)所有しています。
▼人工島司令基地
「スーパーファイブ基地」と呼ばれる移動式基地。未来っぽくてすごくカッコ良く見えました。雰囲気はまるで違いますが一応「島」なのは「トレーシー アイランド」へのオマージュなんでしょうね。この基地は当時、プラモデルなども発売されましたが、私はスケール無視した4号と同サイズの超合金を所有しています。
同時期の「科学忍者隊ガッチャマン」のケレン味たっぷり具合と比べると「ゼロテスター」はリアルが故にいささか地味で、「大成功」とまでは言えませんでしたが、(テコ入れはあったものの)全66話まで続き、それなりに人気もあり玩具も売れました。
そして、関わった方々のお名前を把握すると、後の宇宙を舞台とするSFアニメ、リアル ロボット アニメの萌芽として重要な作品だったのだなぁ、と感じます。
この「ゼロテスター」放送後、まったく同じ代理店、スポンサー、制作会社の組み合わせで放送された、「勇者ライディーン」が大人気に。後に続く「ロボットアニメのサンライズ」につながっていくのでした。
関連記事:当時モノ玩具シリーズ
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