今回は、2017年に放送50周年を迎えた”日本初のカラー特撮スペースオペラ”「キャプテンウルトラ」です!
「宇宙特撮シリーズ」キャプテンウルトラ
1967(昭和42)年4月16日 – 9月24日
毎週日曜19:00 – 19:30
TBS系
全24話
生まれる前の番組ですが、昭和50年代頃はよく再放送やっていた記憶があります。
●ウルトラシリーズ第3弾
「キャプテンウルトラ」は、TBS「ウルトラシリーズ第3弾」、東映が制作した国産初の本格スペースオペラ作品です。
1966(昭和41)年、TBS タケダアワーで放映された円谷プロ「空想特撮シリーズ ウルトラQ~ウルトラマン」が高視聴率を獲得、日本全国に爆発的な怪獣ブームを巻き起こします。しかし、スケジュールや予算面で制作が次第に追いつかなくなり、やむなく放送打ち切りに。当然、放送枠を単独スポンサードしていた武田薬品工業とTBSは、シリーズ続行を熱望します。
ここに乗じたのが、前年から本格的にテレビ特撮番組への参入を目論んでいた東映。東映の資本提携下にはNET(現 テレビ朝日)がありますが、それ以外の局での番組枠獲得を画策していました。
こうして武田薬品、TBS側と東映側の目論見が合致し「円谷プロの次回作準備が整うまでの半年間契約」という条件で、本作がTBS「ウルトラシリーズ第3弾」として制作、放送されることになりました。
●「宇宙」への憧れ
ガガーリンが初の有人宇宙飛行を果たしたのが1961年。米ソ冷戦は宇宙開拓合戦でもありました。本作品はアポロ11号の月面着陸(1969年)の3年前の作品、ということになります。
アニメでは「宇宙少年ソラン」「宇宙エース」「遊星少年パピイ」(1965年)、「遊星仮面」(1966年)など宇宙を舞台にしたSF作品が生まれています。その意味で本作は、満を持した実写SFドラマ、と言える存在です。
●モチーフは「キャプテンフューチャー」
企画のきっかけは、東映の渡邊亮徳氏がSFマガジンで小説「キャプテンフューチャー」の記事を読んだこと、と言われます。
「キャプテンフューチャー」は後(1978年)にNHKでアニメ化されたエドモンド ハミルトン作の1940年代 SF小説の古典的作品です。
●冨田勲さん作曲の名主題歌
警告音的なイントロ、勇壮な男声合唱による主題歌は名曲です。
個人的にはカウントダウンの後のロケットの発射音がトイレの音に聞こえて仕方なかったです。
●キャスト
主演のキャプテンウルトラは日活ニューフェース出身の中田博久氏。悪代官顔です。
相方のロボット「ハック」は当時の「ロボットといえばコレ」的な王道のフォルムですね。
そしてなんといっても相棒の宇宙人、キケロ星人ジョーを若手時代の小林稔侍さんが演じていることが有名です。しかしなんとこのジョー、月刊児童誌でのキャラクター人気投票で子供に不人気との統計が出たため2クール目(12話)で降板となりました。
城野ゆきさん演じるアカネ隊員は大きなお友達にも人気です。
そしてこのバンデル星人のブキミさが魅力!コワい!
●高速宇宙艇シュピーゲル号
3機が分離合体する宇宙船も人気でした。ネーミングが秀逸ですね(独語で『鏡』)。
合体シーンの特撮が大変で徹夜続きだったそうです。
●ウルトラマンには敵わず
平均視聴率は25.6%、最高視聴率32.2%(ビデオリサーチ、関東地区)と高視聴率を記録していますが・・・
なにせ前番組が平均36.8%の「ウルトラマン」。スポンサーの武田薬品側からクレームがついて13話以降は怪獣路線に変更されますが、それでも予定された26話を2話前倒しして次作「ウルトラセブン」へ移行されました。
完
コメント
拝啓 筆者大石良雄より 下記文書「正誤表」記載 お詫びと訂正させて頂きます。
*NET(日本教育テレビ=現テレ朝)誤=TBS(東京放送)正
以上 お詫びいたしまして修正させて頂きます。申し訳ございませんでした。
拝啓 急激な季節変化体調変化の最中、サイトヘッド様にはよろしくお願いいたします。
*「wiki等に書かれる奇麗事にあらず、どうしようも無い状態で生まれた傑作=キャプウル」
世間では、サイトヘッド様やwiki等に書かれている言わば奇麗事を信じてしまうのですが、実は証拠保全として解っているのは、もっとずっと酷くにっちもさっちもいかねぇ状態で生み出された傑作が「キャプテンウルトラ」でした。まず当時ウルトラマン放映終了=実は終了と言うよりも「大親父 円谷英二の超ワンマン体制によるリテイクに次ぐリテイク等により、円谷プロは一時的に制作能力が無くなっていた」のが実態でした。この時に当時の東映の大プロデューサーだった平山亨等に急遽「間 ニッチを埋める作品の依頼」があったわけですが、この際当時のNETより驚いた事に「東映ってぇ何ですか? 特撮出来ますか?」等のまぁ信じられぬ恐ろしい世間知らずの会話が在った事実があります。此の為激怒したのか?何なのか平山P他東映のスタッフは「東映特撮全史」なる自家本をわざわざ拵えて、NET他関係各々に配ったと。しかし東映と言えば、東宝と並んで遥か以前から映画の分野やTV作品などで特撮の経験は充分であり、はたして本当にNETや関係各方面が上記の台詞を吐き出したとしたら、相当以上に世間知らずか? 知った上での皮肉だったのでは?と思われてなりません。
こうして表面上はあくまで「円谷プロの臨時助っ人」として誕生したキャプテンウルトラですが、実は「初の宇宙物カラー作品としてはある意味円谷を凌ぐ傑作」となりました。
*「キャプウル=洗練された都会的感覚と、スピーディな展開、ユニークなモンスター達等」
どちらかと言うと円谷の「UQやUMは、自社の特撮をひけらかす為の数々の大仕掛け=例のオックスベリーのOPの全面使用」等が目立ちすぎ、都会的センスの様なフィーリングが遂に感じられなかったのです(これは更に数年後U7の登場まで待たねばならなかった) つまり特撮に注意ばかりが行きある意味田舎臭い一種の匂いが感じられたのだが、このキャプウルは全くそうした田舎臭い体臭を感じさせず、上記サイトヘッド様の言われる「広大なスケールを持つセンス在るスペースオペラ」を初めて実現させた傑作と言えます。これは舞台が主にと言うよりも全て宇宙が舞台となっており、その描き方が例えば宇宙船内にしろ別惑星の宇宙基地内にしろ、円谷の描き方とは全然異なり確かにセットなどは違ったものの「随所に都会的センスの良さ」ってぇのが感じられた、、、、つまり「野武士の武骨さが円谷と言えば、エリート武士のスマートさの東映」といえるかなぁと。更にストーリー展開のスピーディーさ=これは後の「キーハンター アイフル バーディー GM75」等の登場を予測させる程の演出なのです。
*「ユニークなキャスティング=数少ない良い役の中田 今日では信じられない小林稔侍等」
中田博久さんは今日では大半悪党役ばかりで元々あの手のフェイスは残念なのですが、実にスマートで格好良いキャプテンを全うされましたし、信じられないのは「キケロ星人ジョー役の小林稔侍」今日のあのぬぼーーーっとしたスローテンポのどっしりとしたスケベ親父?風の風体」からは想像できない、、、スマートですばしっこい役柄でしたが、、、この人はその後「バーディー等で、行かない刑事役でなかなか格好良かった」のですが、、、、またハックの様な人語をしゃべる人型ロボットはおそらく「宇宙家族ロビンソンのフライデー」あたりがネタ元では無かったでしょうか? なかなか面白く興味ある存在でした。
*「何よりも盛り上げたのは、大巨匠冨田勲先生の素晴らしい音楽」
冨田先生の東映作品と言いますのは実は極めて少なく残念なのですが当時、平山Pの話ですと「宇宙物なら冨田さんしかいないだろう」と無条件で決まったと言います。当時の冨田先生のご自宅仕事場では「テープや16ミリフィルムの切りカスで溢れかえっていた」と言いますから。まず特筆すべきはテーマ主題歌で、サイトヘッド様がいみじくも言われる「3210のカウントダウン後のロケット噴射音が水洗トイレの音に云々、、」はおそらく、当時の擬音製作の際にはもしかして様々な音の組み合わせがあったはずで、案外当たっているかもしれません。後にシンセの世界的巨匠第一人者となられる冨田先生は、このキャプウルでも様々な音響実験をされていた形跡が感じられ、このロケット噴射音等も後の「惑星=プラネットのロケット噴射音」等にも当然影響を与えていたはずで=惑星のロケット噴射音は実は「大半自家用車を時速100Kで飛ばし、ウィンドガラスに固定した安物マイクで拾った風音がメイン」だったのですから。またBGMも全く独自な創りで「ペットの代わりにもっと音の柔らかい=コルネット、フリューゲルホーン等を多用し、UQ/UMの宮内國郎さんとは全然違う、もっと都会的でセンス良い恰好良いサントラ」を創られました。更に大傑作は「宇宙マーチ」です。
8/6拍子の軽快ながら実にクラシック的要素を多分に含む傑作マーチで、ツーステップで短いながらも起承転結が素晴らしく、数ある特撮マーチの中でも「忍者部隊月光のマーチ=渡辺宙明氏 と並ぶ不滅の大傑作」として永久に残る名曲です。更にストーリー最後に必ず流れる壮大な曲は忘れ難く、まるでその後のスターウォーズを観る様な感覚にすら陥る見事な名曲で、さすがにこういうところは冨田勲先生の独断場であり、決して他の方ではまねの出来ない点なのでしょう。なおここ数十年全くと言ってよいほどリピート 再放送が行われなかったのにはどうも理由が在ったらしく、一時期「キャプウルのTV放映権を、某他社が保持していたからだ」と解っています。某他社は、、、、また別の機会に書かせて頂きます。
「キャプテンウルトラ」よ永久に 敬具