昭和特撮「イナズマン」〜1973-74 二段変身!ゴーリキショーライ、チョーリキショーライ

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特撮
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「イナズマン」は、1973(昭和48)年にNET(現 テレビ朝日)で放送された石ノ森章太郎&東映の特撮作品です。

「ロボット刑事」とほぼ同時期で、「仮面ライダー〜V3」(毎日放送)「キカイダー〜キカイダー01」(NET)に続く、等身大の変身ヒーロー。この時期はヒーロー番組も濫発気味で、視聴率的には苦戦を強いられましたが、「サナギマンからイナズマン」の二段変身という特徴があり、見た目インパクト大の愛車「ライジンゴー」は大人気でした。

 


 

「イナズマン」


1973年10月2日〜1974年3月26日
全25話

「イナズマンF」


1974年4月9日〜同年9月24日
全23話

毎週火曜日 19:30-20:00
NET系

 


 

●テーマは「超能力」

 

当時のオカルトブームを背景に、“超能力集団「少年同盟」と悪の超能力集団「新人類帝国」との戦い“がストーリーライン。敵の総統は「バンバ」で、敵キャラの名前には「◯◯バンバラ」が付きます。しかし、後半(実質16話から)視聴率テコ入れで設定がオールクリアされて、「イナズマンF」ではそれらのエスパー設定はほぼ、なかったことに…。敵は「デスパー」。

 


 

●“蝶“能力ヒーロー

 

仮面ライダーが「バッタ」で、イナズマンのモチーフは「蝶」。だからサナギマンからの二段変身、なのですが…原作と違い、TV版のキャラは見た目にモチーフがわかりづらい&「イナズマ」のインパクトが強過ぎ。当時リアルタイムで観ていた私は「蝶」とはまったく知りませんでした(ちなみに「“ちょう“能力」というダジャレであることも…)。

 

さらには「念動力や瞬間移動などの様々な超能力を駆使して戦う」といった基本設定も、当時の特撮技術の限界からか、ほとんど記憶になく…後半の「イナズマンF」で顕著な、徒手空拳、大野剣友会による大立ち回りのド派手な肉弾バトルの記憶しかありません。

 


 

●ゴローはジロー

 

主人公の「渡五郎」は「人造人間キカイダー」のジローを演じた伴大介氏。

何度も言いますが、

イチローがキカイダー01
ジローがキカイダー
サブローがハカイダー
ジローが仮面ライダーV3
ときて、
ゴローがイナズマン
なのです。

 

伴大介さんはこの後、「忍者キャプター」「バトルフィーバーJ」にも出演されました。

 


 

●最大の特長 「二段変身」

 

五郎はまず「ゴーリキショーライ(剛力/強力招来)」の掛け声でサナギマンになり、ベルトのゲージが頂点に達すると「チョーリキショーライ(超力招来)」の掛け声でイナズマンに変身します。剛力彩芽さんは関係ありません。

「アノクタラサンミャクサンボタィ」(レインボーマン)と並ぶ、昭和の二大変身呪文です。

 


 

●サナギマン

 

怪力ですがエネルギーを蓄えるまでの防御優先のつなぎキャラ。敵によくボコボコにされてました。これはイナズマンに変身した際のカタルシスを得るための狙いだったのでしょうが、いかんせんサナギマンは見た目もグロテスクでカッコ悪く、地味過ぎ。

当時のちびっこ達は「サナギマンはもういいよ、最初からイナズマンになれ!」と身もふたもない反応でした。

 


 

●イナズマン

 

イナズマンは鮮やかなスカイブルーのボディにサイケな目、稲妻を模した黄色いラインにマフラー。華やかでカッコいいヒーローです。肩周りが動きづらいデザインで、何度か改良したとか。原作では「触覚」にあたる箇所もアクションに耐えるため補強されたそう。そもそも、アンテナか避雷針にしか見えませんよね…戦闘時の掛け声は「チェスト!」。薩摩隼人でしょうか。

「イナズマン」と「イナズマンF」はデザイン面では大きな差違はありませんが、24話でマフラーが黄色からオレンジ色に、タイトルが「F」となった26話からマフラーに「F」の文字が加わりました。

 


 

●ハード&ハードなストーリー

 

物語が進むにつれて徐々に作風がハードになったことで知られます。幼い頃に死んだはずの五郎の母が帝王バンバの手先となり、悲劇の再会から自ら倒す「バラバンバラはイナズマンの母」(石ノ森章太郎監督回)など…これではまるでピー・プロです(褒め言葉)。

 


 

●愛車ライジンゴー

 

数あるヒーローマシンの中でもインパクトでは最強クラスの「ライジンゴー」。口で噛み付いたり、中から回転ノコギリが出たり、ミサイルは発射できるは空は飛べるは壁は登れるは水中にも…の万能カーです。なんでもベースカーは「いすゞ ベレット1600GT-R」だそうですが、カスタムの腕が良すぎて原型がほとんどありません。

赤と黄色のカラーリングも含め大人気で、ポピニカ超合金がバカ売れしてマーチャンダイズ的に大成功したのも納得のフォルムです。

 


 

●主題歌

<イナズマン>
op「戦えイナズマン」
作詞:石森章太郎/作 編曲:渡辺宙明
歌:子門真人、コロムビアゆりかご会

ed「チェスト!チェスト!イナズマン」
作詞:八手三郎/作 編曲:渡辺宙明
歌:水木一郎

 

<イナズマンF>
op「フラッシュ!イナズマン」
作詞:八手三郎/作 編曲:渡辺宙明
歌:ヒデ夕樹

ed「イナズマン・アクション」
作詞:石森章太郎/作 編曲:渡辺宙明
歌:水木一郎

 

これぞ「宙明サウンド」の名曲揃い。そして特筆すべきは、子門真人さん水木一郎さんヒデ夕樹さんの揃い踏みでしょう。同一番組でのこのラインナップはなかなかありません。

 

やはり初期のopが印象的で、「キカイダー01」から続いてのファズギターに子門真人さんの雄叫びがイチイチ素敵。マイナー調で始まり、サビからいきなりメジャーに転調するレベルの高い楽曲です。

 

「F」主題歌はヒデ夕樹さん。子門真人さんもレコーディングしたのでしょうが、どういう理由で選んだのでしょうね。子門真人さんに負けじとヒデ夕樹さんも珍しく雄叫び系で、作風同様ハードな仕上がりです。

 

 


●漫画版

 

「週刊少年サンデー 」1973(昭和48)年34号〜1974(昭和49)年38号 連載(1974年10号以降は「イナズマンシリーズ」、18号以降は「イナズマン超人戦記」へと改題)。

漫画版は前連載作の「人造人間キカイダー」の続編である、ということが後に明かされました。

TVとは設定が大きく違い、ヒーロー物というより異能バトルにフォーカスされていました。

 

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